減災コミュニケーション・バンダナデザイン・コンテスト2016 | 展示・結果 - 表彰と結果 - 入賞作品詳細

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高評価を得た作品の紹介

審査における5つの評価軸において高評価を得た作品を紹介します。

各作品名から「作品紹介」にリンクしています。入賞作品として別ページで紹介済みの作品については、そちらにリンクしています。

  • 「提案意図」はエントリー時の作者による解説テキストを元に概要を掲載しています。
  • 「評価コメント」は、今回の審査委員兼コンテスト事務局の平林英二によるものです。

●評価軸①「日常的に使いたい度合い」における高評価作品

●評価軸②「日常および非常時におけるコミュニケーションのサポート力の度合い」における高評価作品

●評価軸③「製品化による普及・浸透の可能性」における高評価作品

●評価軸④「テーマ・コンセプトの重要性」における高評価作品

●⑤その他の評価(各審査委員の評価・見解等)による高評価作品

※ ユニークさ、デザインの魅力、発想の可能性、アイデアとセンス等、各審査員が独自に設定した観点により評価され、これらの統合集計値が高かった作品につき紹介します。

作品詳細

評価軸①「日常的に使いたい度合い」における高評価作品

作品タイトル:きぶんバンダナ

作者:吉田 統威

提案意図

記号・図形・色だけでコミュニケーションを取るには・・・というところから、四つの表情を、図形と色のみで表現した。分割することにより、着用者のその時の気分や体調を、この一枚でわかりやすく伝えることができる。これはバンダナを頭につけると、四つに分けた一面がおでこに来ることを思い出し発想した。さらに、広げた状態だと、それぞれの表情が大きく口を開けているように見え、子供にも楽しく使ってもらえるような遊び心を加えた。なにより黒のみではっきりとしたデザインで、印象が強く、視認性を高くした。

評価コメント

4分割した画面いっぱいに、顔文字風の図柄のみをストレートに示しただけのシンプルな強さが生きている。ぜひ一度現物を持ち、日常的な普段のコミュニケーションのシーンから使っていたいと思わせる。そのきっかけがバンダナの有効性を高めていくことにもつながりそう。

  • How To BLS

評価軸①「日常的に使いたい度合い」における高評価作品

作品タイトル:How To BLS

作者:松島 邦雄

提案意図

このバンダナは心肺停止状態の"誰か"とでコミュニケートする。救命救急の初歩である人工呼吸やAED使用について、誰でも容易くできるようにするためのバンダナ。一般人は、人工呼吸の順序や圧迫部分、AEDの使用方法が分からない。イラストレーションで順序を手引きし、特に「人工呼吸の回数」や「心臓マッサージの頻度」などの数値を明示した。また、バンダナの生地の薄さを機能として捉え、対象者の口にこのバンダナを当てて息を吹き込むことで、他人へのマウストゥマウスのためらい、ストレスを軽減できると考えた。スマートなバンダナとして普段から携帯してもらいたいので主に英語を用いたが、一度意味を理解していれば、実際に必要な際にこの図から直感で思い返すカンペに使ってもらえると考える。普及のために自治体、企業、等団体単位で作成しする際の名入れや、最寄りの医療機関の連絡先や、個人のメッセージを書き込めるスペースも設けた。

評価コメント

取り上げたテーマを洗練されたグラフィックでまとめたことは高く評価された。実際にその時その場で機能するかはともかく、How toを示すことは意識啓発としても有効であろう。イラストレーションで示すことに誤りがないか、また誤りなく一般人に知識を伝えることができるか、専門家の監修を受けて仕上げたい。

  • How To BLS

評価軸①「日常的に使いたい度合い」における高評価作品

作品タイトル:減災バンダナ

作者:杉本 有里

提案意図

手を上げている様な感じで、私は何か出来ますという意味を、コミュニケーションで伝えたいという意味合いを込めた。

評価コメント

元気いっぱい、シンプルな図柄は並ぶ作品群の中において、インパクト、存在感が一歩、秀でていた。人と積極的にコミュニケーションしようという意欲とその発信に見習わされる。

  • 減災バンダナ

評価軸②「日常および非常時におけるコミュニケーションのサポート力の度合い」における高評価作品

作品タイトル:てとて

作者:小林 あゆみ

提案意図

手と手を取り、助け合うイメージを込めた。対角線で半分に折ると、助けたい側、助けを求める側と、リバーシブルで使用できる。バンダナを広げた時は、人と人が手を取り助け合っている図柄、半分に折り首に巻いた時は、握手をしている図柄になる。また、ニコニコの笑顔で、このバンダナを見ているだけで元気が出てくるようなあたたかみのあるデザインに心がけた。

評価コメント

今回のコンテストにおいて示した例案が伝えていたコンセプトを、良く消化し、作者なりのセンスやハートで図柄としてまとめていただいた度合いが高い作品だったが、この仕上げ方への評価が高くあっことにも学ばされた。

  • てとて

評価軸②「日常および非常時におけるコミュニケーションのサポート力の度合い」における高評価作品

作品タイトル:気持ちを伝えよう

作者:鈴木 繭花

提案意図

大きなフキダシ部分にはメッセージが書き込めるようになっていて、その下のマルを顔に見立て、表情を入れられる。メッセージにプラスして表情を入れることで、言葉だけでは表しきれない気持ちを伝えることができる。また、反対側のフキダシに書かれた色々なメッセージと顔は、記入例になっている。表情と言葉の組み合わせに加え、記号やマークでも気持ちが伝えられることや、自分だったらこんな風に書いてみよう、というヒントになっている。

評価コメント

記入例として示された吹き出しを用いて、まずは日常使いで、友達とやりとりをしてみたくなる。ラインのスタンプを送り合うようなコミュニケーションがリアル空間に現れるような感覚を一度楽しんでみたい。

  • 気持ちを伝えよう

評価軸④「テーマ・コンセプトの重要性」における高評価作品

作品タイトル:SOSバンダナ

作者:チームEmiMami

提案意図

避難所において普段接したことのないボランティアやスタッフが当事者のSOSを理解し合うための情報バンダナ。好き・嫌いの吹き出しには「○○さんは甘いもの」がなど、普段呼ばれなれた名前を用いて記載する。情報のもとになるのはSOSファイル。情報は1年ごとに内容の見直しを行うので、書き換えのタイミングで支援学校や支援学級、福祉施設の保護者を巻き込んだ防災啓発のワークショップにも利用できる。また、バンダナ自身は普段の生活の中でも使用し、日頃から備えることの大切さをさりげなく伝えることができる。

評価コメント

作者は障がいのある子どもと保護する側とのコミュニケーションを円滑にするためのツールとして発案した。日常使いで慣れていることこそ、非常時においても有効に活かせるという観点で学ばされ、気付かされる要素を多く蓄えている提案。

  • 避難所お手伝いニーズ別バンダナ(聴覚・視覚・内部障がい用)

評価軸④「テーマ・コンセプトの重要性」における高評価作品

作品タイトル:GIVE AND TAKE バンダナ

作者:小桑 克守

提案意図

多くの人に広く周知して「集めたい」、「配りたい」場面で使用することを想定した。吹き出しの言葉に自由な発想で言葉を書き込み、使用したい部分が表に表示されるように対角線で折り、身につけたり、壁などにはりつけて使用する。日常的には、イベントやパーティ用の娯楽グッズとして「友だち募集中!」「プレゼント差し上げます!」「ここであなたの一言を、どうぞ!」など、実用的なサイン機能として、またコミュニケーションを促進するツールとして使用できる。災害時には、避難所などで「人手が足りません」「ボランティア募集中」「おすそ分けをどうぞ」などの言葉を書き込み使用する。漫画風の吹き出しを使用しているため娯楽の要素が強く、緊急的なニーズを訴える時には弱い面があるとも思うが、避難所内での長期生活が少し落ち着いてきたような場面で、コミュニケーションツールを兼ねたものとしての使用してもらえることをイメージした。

評価コメント

今回コンテストが、日常から非常時までのどのシーンにおいて機能するバンダナとして提案を求めているのかを考えた際、究極的に命に関わるシーンと、それ以外とでは、次元が違うことに気付かされる。全てのシーン・次元で有効であることを1枚の図案に求めるより、この段階だから有効に活かせるという時にそれにふさわしいものを選んで使うという柔軟さも大切だと教えられる。

  • GIVE AND TAKE バンダナ

評価軸④「テーマ・コンセプトの重要性」における高評価作品

作品タイトル:ケアする人が、ケアを必要とする人のことを伝えるためのコミュニケーションバンダナ

作者:笹川 みちる

提案意図

現在、日本の人口の4人に一人が65歳以上、20年後にはその割合は約1/3になると予測され、ケアを必要とする人がますます増えているが、高齢の方、病気・障がいを持った方や小さな子どもなど、必要なケアをはっきりと言葉で伝えることができない人も多い。災害時には、人のケアにまではなかなか手が回らないかもしれない。一方で、あと一歩の適切な支援があれば命が助かることもあるのではないか。自分のことを説明できない人がより適切なケアを受けられる、力になりたいと思った人がもどかしい思いをすることが減る、そして離れ離れになったとしてもケアする人の心の負担が少しでも軽くなる、そんなツールがあれば良いと思って考えた。布に書けるマーカーとセットにし、必要な情報を記入して完成させる。バンダナは、破れたり濡れて読めなくなることが少なく、手帳やカードよりも身につけやすいのでケアを引き継ぐ人の目にも止まりやすいのではないかと思う。アイコンはフリー素材を用いた。

評価コメント

この提案は、フラッグ的に引いた距離から眺めてしまうと、その他のインパクトのある提案と横並びになった際には目立つ存在ではなかった。しかし実際に折りたたみ使う日常においては、記されるアイコンもこのくらいのサイズが適当なのかもしれないと気付かされる。同旨の提案の中でも、コミュニケーションの現場におけるそのサイズ感にリアリティについて重要な観点を伝えている。

  • ケアする人が、ケアを必要とする人のことを伝えるためのコミュニケーションバンダナ

⑤その他の評価(各審査委員の評価・見解等)による高評価作品

作品タイトル:食物アレルギーを伝えるバンダナ

作者:溝口 いづみ

提案意図

食べ物のアレルギーを持っている方が簡単に意思表示できるものがあれば、災害時などは特に口頭よりも伝わりやすいのではないか。バンダナを折りたためば該当のアレルゲンを伝えられるようにした。英語と併記していることで一見「英単語バンダナ」に見えるため、アレルギー用とは気付きにくい。食べ物を配る方や配膳をする方に周知ができていれば、それ以外の方の気にはとまらないぐらいの存在にできるのではないかと考えた。災害時のみならず、海外旅行や、外国人でアレルギーがある方にも使っていただける。疑問文も明記しているので、食堂などでお客様へ尋ねるときにも使っていただける。空欄には、該当のアレルゲンがない場合にご自分で追加記入ができる。

評価コメント

縦横に2回ずつ畳むと、計16コマの画面となることを改めてストレートに示した提案。テーマとしたアレルゲン表示の他にもこの手法でできることは様々にあるのではと、その可能性に気付かされる。リアルな機能としては、2コマを用いて伝えるよりは各コマで情報を完結させておいた方が生かせる場合もあるかも。

  • 食物アレルギーを伝えるバンダナ

⑤その他の評価(各審査委員の評価・見解等)による高評価作品

作品タイトル:マスク・アンド・シルエット

作者:TEAMびっくりぽん

(※同作者の連作をシリーズ1点として選定)

提案意図

「助けて発信」が一目でわかるよう、また、一方では、かわいらしさを盛り込むことにより平時より多くの方に普及できるよう、表裏両面による一枚のバンダナから発信できる機能および、デザインを考えた。 表面「助けます」発信の面は、平時に常に持ち歩き、装着すると自分の顔半分が動物の口に見える折りたたみマスクとしても利用。学校での給食、掃除、花粉、PM2.5値時節での着用や、発災時には、口を覆うマスク、止血、汗、汚れなどのタオル代わりとして活用する。裏面「助けて」発信の面は、緊急時に利用者の年代、健康状況に応じた各シルエットでSOS発信者の状況をより詳しく伝える。またバンダナ図柄や、QRコード、バンダナに装着したNFCタグなどを活用することにより、スマートフォン専用アプリにより、SOS自動音声とともに、現在地情報をSNS連携による家族知人への通知、安否情報連携などオフラインからオンラインへの情報配信への仕組みも別途、搭載を予定している。

評価コメント

ユーモラスな日常使いの観点(猫顔マスクとしてぜひ一度使ってみたい)、リバーシブルの裏面ではまったく様相が代わり非常時を発信するという点においてなるほどと気付かされる提案。SOSを発信においては、シンプルなデザインの力強さとは別途、SOSのみを発信すればこと足りるのか、自分の立場の表明を含めて発信すべきなのかについては良く吟味したい。多くの人に持ち使っていただくためにはSOS面に各種アイコンを共載した案が良いのかもしれない。

  • マスク・アンド・シルエット1
  • マスク・アンド・シルエット2
  • マスク・アンド・シルエット3
  • マスク・アンド・シルエット4
  • マスク・アンド・シルエット5
  • マスク・アンド・シルエット6

⑤その他の評価(各審査委員の評価・見解等)による高評価作品

作品タイトル:点線にそって切る事で長い包帯になるメッセージ付きバンダナの提案

作者:寺崎 元貴

提案意図

災害時に、はさみさえあれば長い包帯になるというバンダナです。緑は身体を癒す色、筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせる色とされているため、色に緑を使用している。さらに、このバンダナには、「SO BA NI I RU YO」というメッセージが入っている。包帯を巻いたときにこのメッセージが見えるようにデザインした。災害時の辛い気持ちを少しでも和らげることは出来ないかと考えた。

評価コメント

1枚の布を切って活用するという発案が光る。その細く長い布を巻いた時の表情についても細やかな気持ちを込めた提案者の優しさがある。実際の包帯としての使用は衛生面で気になる面があるが、何かより優れた発展に期待がかかるアイディア。

  • 点線にそって切る事で長い包帯になるメッセージ付きバンダナの提案

⑤その他の評価(各審査委員の評価・見解等)による高評価作品

作品タイトル:BONDANA

作者:勝田 竜也

提案意図

ひとりでつかうバンダナを、みんながもちよって、みんなでつなげると、みんなでつかえるバンダナに変わる。みんなでつなげて、みんなでつかうことで、みんなのこころもつながる、きずなができる。きずなは英語で「BOND(ボンド)」。BOND(ボンド)ができるBANDANA(バンダナ)だから、BONDANAというなまえをつけた。穴かがりをつけたバンダナ。穴かがりにロープやひも、棒などを通してつなげて、おおきな面をつくりいろんな用途につかえる。かんたんな仕掛けだが、通せる穴があることで、いろいろな使い方を発想しやすくなることもねらいのひとつ。

評価コメント

1枚の布に程よいスパンでスリットが入っていて、それを活用するとさまざまなツールとなるというアイディアは秀逸。本当にこのように多様に使えるのかどうか、実際に試してみたい。製造にはそれなりのコストが上積みされそうだが、それを乗り越え、新たな価値を創り出す可能性があるのでは。さてこの機能に掲載されるべきは図柄としてはどのようなものがより良いかも含め追求が願われる。

  • BONDANA